この記事を読めば変革の要諦がわかる: 「IT部門の経験がないCIO」がなぜ、次々とIT改革を成し遂げているのか

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Gerd AltmannによるPixabayからの画像

外部から招聘されたリーダーによる変革のお手本のような記事

「IT部門の経験がないCIO」がなぜ、次々とIT改革を成し遂げているのか——渋谷区副区長兼CIOに聞く、「DX時代のリーダーがすべきこと」

という記事をたまたま目にして読みました。

内容としては「100年に一度」という大規模な再開発が進む渋谷区で、ITを武器に行政サービスに大きな変革を起こしている副区長兼CIOの澤田伸氏の話。

澤田氏は飲料メーカーのマーケティング部門、大手広告代理店、外資系投資ファンドなど、複数の大手企業でキャリアを積んだ後、2015年10月に東京23区としては初の「民間出身の副区長」として、渋谷区の副区長に就任しました。

変革をリードされている方、特に外部から招聘されて変革を期待されている方には是非とも読んでいただきたい内容となっています。

インタビューアーの方の質問の切り口も良く、記事の構成も良くできているので要点が非常に理解しやすくなっています。

記事を作成された方のセンスの良さを随所に感じます。

まずは「変われる人たちだけを変える」

澤田氏のコメントのを読むにつけ、非常に印象に残るのはその確固たるマネジメントポリシーです。

たとえば下記のコメント。

パレートの法則に従えば、あらゆる組織は実質的に上位20%の人財の有する能力とイニシアティブによって成長しており、残りの80%は定型化が可能なオペレーション業務を中心に日々の活動を行っているものと考えます。

従って「上位20%の人たちの意識や行動を変化させること」が重要です。

残り80%の人たちがやっている定型化可能な業務は段階的にRPAやAIに代替されます。

しかし、行政組織の課題は、「上位20%の人財が、定型化可能な業務に忙殺されていること」です。

よって、デジタルテクノロジーを活用して新たに創出した時間をもっと難度の高い課題に対して使える、よりクリエイティブなアプローチができる環境にシフトすべきなのです。

何が問題の本質であるかをしっかりコンセプト化し、そして方向性をシンプルかつ明確に表現する力は見事と言わざるを得ません。

その上で下記のようにはっきりと断じてます。

変わらない人たちを変えようとしても、ほとんどは無駄な努力で終わりますから、「変われる人たちだけを変えること」に注力すべきだと思います。

行政ほどクリエイティビティが必要とされる仕事はない

澤田氏は「行政ほどクリエイティビティが必要とされる仕事はない」と話していますが、それは何故でしょうか?

澤田氏は下記のような地域行政の仕事は人間にしか成し得ないクリエイティブな営みと述べています。

  • 「より良い行政の在り方を考える力」
  • 「地域社会や住民一人ひとりとコミュニケーションをとりながらつながっていく力」
  • 「多様性を認め合う力」
  • 「民間とも積極的に交流してコラボレーションを通じて新たな価値を生み出す力」

このようなクリエイティブな仕事に人財の力を集めていくことが渋谷区行政での改革の本質であると表現しています。

IT導入プロジェクトの成否は「いかに優秀なPM人財をアサインできるか」

IT導入プロジェクトに関するやり取りの中でとても興味深かったのは下記のコメントでした。

ITの専門知識は、実はあまり重視していません。それより、プロジェクトマネジメントのスキルを何より重視しています。個人的には、プロジェクトの成否は、プロジェクトマネジャー(PM)の能力によってほぼ決まると考えています。そこで必要になってくるのはITの専門知識よりも、コミュニケーション能力や、プロジェクト全体、ビジネス全体を見渡せる視野の広さや視座の高さです。

ITだからと言って専門性を重視するのではなく、プロジェクトマネジメントスキルとしての視野や視座を重視されているとのこと。

これはより高度な専門性を求められるプロジェクトにおいては気をつけるべきポイントでしょう。

リーダーの責務はあるべき姿を定めること

そして、最後にはリーダーとしての姿に言及しています。

個人的には、経営者やリーダーには必ずしも高いITリテラシーが必要だとは思いませんが、「何をやりたいのか」「あるべき姿は何か」を初めにきちんと決めることが、やはりリーダーの責務だと思いますね。

何をやりたいのか、あるべき姿は何かを最初に定めること。

これを読んだときにはっとさせられました。

果たして過去にこのようなことができていただろうかと。

最後に

たった数ページのインタビュー記事ではありますが、変革者としての視座や考え方などがてんこ盛りのとても良い記事でした。

組織内で改革の責を負う方には是非ご一読をおすすめします。

皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。

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