この記事の内容
自己実現欲求を満たすための転職は素晴らしいが要注意
新しいキャリアの展開を目指して転職を行うことは素晴らしいことと個人的には思います。
特に、自らがなすべきことをなすという意識の下、いわゆる自己実現欲求を満たすための転職機会にはなかなか遭遇することはできません。
このような機会を掴むことは是非後押ししたいと思います。
しかしながらここでは注意が必要です。
自己実現欲求を満たしたいというところまで気持ちが充足しているということは、すなわちその下部の欲求が全て充足されていることを意味するからです。
すなわちマズローの欲求段階説における「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」の全てが充足されているということです。
ここで問いかけたいのは、転職によって自己実現欲求を満たしたいといった場合、その転職先において下部の欲求が全て満たされる保証がありますか、ということです。
新しい環境において承認欲求までの欲求は全て満たされるか
転職先にいけば様々な面で環境が変化します。
その結果として「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」の全てが再度充足されるなら申し分ありません。
しかしながら勤務先の変化というものは自身の認識に大きな影響を与えます。
例えば、実は思っていたよりも激務の職場で多くの時間を職場で費やさなければならないということがわかった場合、家族との時間が減って社会的欲求が満たされなくなる、あるいは激務のために睡眠時間が減って生理的欲求の充足が危うくなるということが有りえます。
そうなった場合、個人の認識としては自己実現欲求どころではありません。
低次の欲求が満たされなければそこを満たすことを優先する
より低次の欲求が満たされなくなった場合、当然ながらより下位の欲求を満たすことを優先しようとマインドが動きます。
結果として、より低次の欲求がちゃんと充足されていた以前の職場の方が良かったという認識になりかねません。
そうなると必ずこのように思うでしょう。
「何のための転職だったのか」
自己実現欲求を満たすための転職が結果として自分の低次欲求のありかに気づかせてくるということにもなりかねません。
動く前によくシミュレーションしよう
現在の勤務先の環境をそのまま転職先に持っていくことはできません。
そこではきわめて多くの要素が変動します。
それらの変動要素、特に現在の勤務先で気に入っている点を十分に考慮しながら、何が変化するのか、それによる影響にはどのようなものがあるのかをしっかりシミュレーションすることが重要です。
最後に
筆者はある転職を行った際に、転職前の職場のマネジメントの方から
「今できていることが次の職場でそのままできるとは限らないぞ」
と言われたことがあります。
その際には転職する気持ちが高ぶっていたのであまり真面目に聞いていませんでしたが、実際に転職してみてその言葉の重みが痛切に理解できました。
確かに環境や文化が変わると同じようなパフォーマンスをあげることは非常に難しいです。
それでも転職には価値があると思います。
考えをしっかりと巡らせることによってより良きキャリア選択をして下さい。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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