ポストコロナの半導体需要トレンド – 半導体業界専門家の見方

グローバル
Michael SchwarzenbergerによるPixabayからの画像

半導体業界専門家によるウェビナーに参加

半導体業界の専門家によるコロナ後のテクノロジー業界に関するウェビナーが開催され、それに参加しました。

その内容が面白かったのでここで部分的に紹介したいと思います。

リーマンショックとの違い: 半導体需要は強い

半導体業界の見方によれば、今回のCOVID-19の産業への影響はリーマンショックとは大きく異なるようです。

特にファウンドリと呼ばれる半導体製造の専業メーカーの稼働率を見た場合、過去の大きなリセッションの場合には稼働率も大きく下げたのですが、今回についてはそのような稼働率減少は見られずほぼ微減という状況です。

半導体ユーザー側も以前のリーマンショックに比べれば、ちゃんと生産在庫を確保しようという動きが強いようであり、産業全体が比較的強い需要を見ているようです。

特に、リモートワークを中心としたデータセンターや通信向け需要が強く、通信に関しては5Gの立ち上げとも相まってより強いトレンドになっているようです。

特に中国では5Gの立ち上がりは4Gのときよりも早く、今後も強い投資が見込まれるようです。

同様に5Gの端末も中国では急速に種類が増加しているとのこと。

またStay HomeによってWebカメラやサブディスプレイのような周辺機器の需要も高まっているようです。

このコロナの期間には各オンラインプラットフォームの通信トラフィックが急激に伸びたようです。

コロナ前と比較したトラフィックの変化
  • Microsoft Teams: +500%
  • Zoom: +250%
  • Google Classmate: +150%

データ需要は自己生成期に突入

興味深いのはデータ需要は自己生成能力があるという分析です。

データ生成・データ伝送・データ保存・データ分析はそれぞれ相関しながら互いに需要を喚起し合っているということです。

例えばインターネットに接続されるデバイスによってデータは常に生成されていますが、それはデータ保存とデータ伝送の需要を喚起します。

またデータ伝送が発達することによってそれはデータ分析とデータ生成の需要を喚起し、データ保存が増えれば、データ分析およびデータ生成の需要もまた増えます。

ということで、データ経済は需要を自己生成していくフェーズに入っているという状況です。

それらに加えてさらにAI(人工知能)のためのプロセッサーの需要も急速に成長しています。

AIの役割は、工場で製造原価を改善するだけでなく、結果として設備投資の効率化にもつながります。

さらには一般管理に関わる人件費も削減できるため、現在そのような分野に使われているコストはさらなる効率化のためにAIプロセッサー向けの需要に向かいます。

このような影響によってクラウド向けの設備投資は年率十数%で成長しています。

最後に

COVID-19による経済成長の弱まりによって需要が弱まるかと思いましたが半導体の需要は別のようです。

特に、データ経済の到来によってデータ需要が自己成長しているという見方が非常に興味深いと思いました。

この点がリーマンショックの際の影響とは大きく異なるのですね。

皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。

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