値下げが顧客のためになるとは限らない: 健全な収益は顧客を護る

事業運営
Peter HによるPixabayからの画像

顧客から値下げを要求されることは一般的

コンビニやスーパーでの買い物の場合にはあまり経験しないかもしれませんが、企業間取引いわゆるB2Bの取引であれば値下げ要求が発生するのはごく通常のことです。

取引を開始するための「お試し」価格や年率のコスト削減要求など、多種多様な理由によって顧客側から値下げを要求されることがあります。

また、産業によってその値下げの名称も様々なものがあり「〇〇コミット」「○○キャンペーン」など、その産業以外の人から見ればよくわからないものが入っていますが、なんのことはない、ただの値下げ要求です。

値下げ要求に応えることがはたして顧客のためになるか

サプライヤー側から見た場合、果たしてその顧客からの値下げ要求に都度都度応じることが果たして顧客のためになるのでしょうか。

もちろんのこと短期的には顧客にとってコスト削減となり、顧客にとっての収益性は改善します。

ただ中長期的な観点でそれが本当に顧客を守ることになるのか、顧客のためになるのか改めて考える必要があるのではないかと思います。

収益性のない製品はいずれ中止せざるをえなくなる

サプライヤーと言えども企業です。企業である以上、利益を出さなければ継続することはできません。

企業として利益を出して事業継続していくためには利益の出ない事業・製品、収益性の低い事業・製品についてはどこかで撤退せざるを得なくなります。

顧客からの値下げ要求に応え続けた場合、どこかでその製品は中止せざるを得なくなります。

製品の供給途絶によって困るのは誰か

「顧客が求めた値下げだから、製品から撤退するのは仕方がない」

というのはサプライヤーとして致し方のない判断だと思います。

しかしながら、これによって最終的に困るのは誰でしょうか?

その製品を購入し続けた顧客は、その製品を使うために投資を行っていたり、そのためのビジネスプロセスを構築していたり、あるいはソフトウェアの開発なども行っている場合もあるでしょう。

しかしながらその製品群がなくなってしまえば、それらの投資や事業のインフラが全て無駄になってしまいます。

顧客からの値下げ要求に応え続けた結果として製品中止を行うことは結果として顧客を困らせてしまうことになってしまう可能性を孕んでいます。

顧客を護るためにしっかりとした値段を要求しよう

製品の中止によって結果的に顧客に対して大きな負の影響を与えてしまうことを回避するためには、やはり健全に事業や製品を継続するための収益性が必要です。

収益性を継続して確保するためにはそのための価格・値段が必要です。

値下げばかりしていては、いずれその製品を止めざるを得なくなります。

本当に顧客を守りたいという意思があるのであれば、しっかりした値段を要求し続けるしかありません。

最後に

筆者は顧客の値下げ要求に応え過ぎた結果として事業撤退せざるを得なくなる事例を何度も目撃してきました。

不用意な値下げはサプライヤーにとってダメージであるだけでなく、結果的には顧客にもダメージを与えることもあります。

本当に取引にとって意味のある値段・価格とは何なのか、真剣に考えて伝えることが必要だと思います。

皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。

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