この記事の内容
経営環境の変化に伴う経営戦略の変化はつきもの
新型コロナウィルス感染症によるパンデミックに伴い、企業にとっての経営環境は大きく変化しました。
パンデミックが無かったとしても、米中の貿易摩擦や技術革新や人口動態の変化などによって経営環境は絶えず変化しています。
それらの環境変化によって企業の経営戦略も当然変化せざるを得ません。
進化論で有名なダーウィンはこのように言いました。
この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ
そう、生き残るためには変化は必定なのです。
新しい戦略には新しい資源配分がつきもの
新しい経営戦略にはそのための資源配分が必要です。
よく見かけるのは新しい経営戦略と言いながら、内容は単なる掛け声で、実行するための手段を伴っていないというものです。
単なる方針変更だけでは物事を動かすことはできません。
戦略の変更は実行を伴ってこそ戦略としての意味があります。
すなわち新しい戦略のためには必ず新しい資源配分が必要なのです。
ただし資源移動が必ずしも簡単にできるわけではない
しかしながら、全ての企業にとって資源配分の変化、すなわち資源移動が簡単にできるわけではありません。
特に長い期間ビジネスを行っている企業であればなおさらその難しさがあります。
例えば
「事業Aの開発を遅らせたら大口顧客が怒る」
「事業Bの人間を事業Cに持っていったって全く使い物にならない」
「あの予算は経済産業省から委託を受けたものなので動かせない」
などといった「できない」理由がたくさん出てくるでしょう。
それ故、戦略変更による資源移動をすぐに行えるということは優れたスキルとも言えるのです。
優れた会社は資源移動を前提とした事業インフラを形成している
それでは、優れた会社、すなわち環境変化に伴う戦略変更、戦略変更に伴う資源移動をスムーズに行える企業というのはどのような工夫をしているのでしょうか。
答えは単純なのですが「そもそも資源の移動を前提とした事業の組み方を行っている」です。
例えば、業務委託を上手く活用して固定化した人員を作らないようにしたり、長期間の契約については定期的に見直せる条項を設けたりといった工夫です。
このようにして資源が動かせなくなる要因をできる限り排除するような工夫を事前に組み込ませているのです。
事業判断において将来の負債を意識せよ
もう一つ質問をするならば、そのような工夫、すなわち後から経営資源が動かせるような工夫をするには何を意識すれば良いかということです。
それは事業判断において負債を意識するということです。
この事業への投資は事業がなくなったときにどのような負債となるだろうか、この契約から撤退する際にはどのような問題が発生するだろうか、という質問を判断の前にしっかりと突き詰めて考えておくのです。
もちろんのこと、全ての負債を避けていては事業はできません。
しかしながら、あり得るシナリオをしっかりと意識することで、どのような工夫を入れておけばそのシナリオにおけるリスクを最小化できるかという考慮を入れておくことはできます。
最後に
ダーウィンの言葉を引用して、生き残るものは変化をするものということを伝えました。
このことを頭で理解している経営者は大変多いと思いますが、実際の環境変化を目の当たりにして本当にその環境変化に対応した変化を実行できる方は限られていると思います。
いざというときに変化を行うためには、変化を前提とした変化のための準備を事前に行うことです。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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