この記事の内容
工場の立地に関して検討する要素は多岐にわたる
製造業の企業において工場は生産のために非常に重要な機能であり、その立地の検討は非常に細かい精査が必要です。
例えば、下記のような要素が工場立地のための検討項目です。
これらの項目は非常に多岐にわたっており、かつ相互に関連しているため検討は簡単ではありません。
それだけに複雑かつ難度が高い検討なのです。
用地選定時には設立と運営のことばかりを考える
上記の工場立地に際して検討する項目については基本的に設立に関わることおよび運営に関わることです。
すなわち工場を立ち上げるときと工場を回しているときこれを想像しながら項目を検討します。
その工場は未来永劫運営できるか
しかし、敢えてここで問題提起をします。
筆者は工場を閉鎖し、工場を売却したプロジェクトのマネジメントをした経験からこのように申し上げたいと思います。
「その工場は本当に未来永劫運営できますか?」
もちろん事業を営んでいる方々からすれば工場をずっと運営するのは当然のことと思われるでしょう。
しかしながら技術には当然盛衰があり、国と国との間の関係、あるいは企業の買収や売却、さらには自然災害や疫病によって前提としていた事業環境が完全に変化してしまうことは大いにあり得ることです。
すなわち「その工場にも終わりが来る」ということを想定にいれるべきだと思います。
工場撤退時に考慮すべきこと: 筆者自身の経験から
では工場を閉める、撤退するという局面では何が最も重要なのでしょうか。
筆者は上記のように工場撤退のプロジェクト、そしてその閉鎖後の売却も含めて多様な工場撤退プロジェクトを経験しました。
その中でこれは重要だと思うことを挙げたいと思います。
- 近接する地域における労働流動性: 近くに類似する製造業の工場があれば従業員を引き取っていただける可能性が高まります。これは閉鎖の際の労働組合との会話において非常に重要な要素となります。
- 生活空間との距離: 仮に工場閉鎖した後に更地化して売却する場合には土壌の清浄化が問題となる場合があります。工場の長年の排水等によって土壌汚染が進行している場合があります。清浄化できなければ工場による管理が止まったことにより周辺へ汚染が拡がる可能性あるいはそもそも住宅地として売却できないなどのリスクも高まります。極力生活区域からは離れた方がリスク低減になります。
他にも項目を挙げればキリがないですが、工場閉鎖や売却に関して苦労した拠点は上記2点の条件が好条件で無かったために苦労しました。
逆に上記の条件が満たされている工場については他社への売却等含めて非常にスムーズに議論が進みます。
最後に
工場で働く方々の数は多く、そこには単なる職場以上の思いが詰まっていることが多いです。
そのような工場の運営を中止し、閉鎖をしたり、売却する際には、そのような思いに対峙し応えるということが必要です。
その感情の高ぶりをこれまでに何度も見てきた身としては工場は閉鎖しないに越したことはありません。
しかしながら、万が一閉鎖するという可能性に備えて、そのときでも少しでも悲しい思いが減らせるような選択をしておくのが経営としての役割だと思います。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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