戦略ベンチマークは必ず量の議論を

経営戦略
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「戦略」の議論はとかく定性的になりがち

企業に勤務されている方で企画やマーケティング系のお仕事をされている方であれば業界の他社の戦略を行った経験があると思います。

しかし多くの場合「戦略」の分析と言うとどうしても「はかりごと」のようなイメージが強く、議論が訂正的になりがちです。

例えば「A社は若者向けのイメージを強化している」とか「B社はチャネルのインセンティブを柔軟にしている」とか「C社はWebのユーザービリティを良くしている」といったような発言です。

すなわち戦略の議論はとかく定性的になりがちです。

やり方を変えて何もかも上手くいくのは漫画の世界だけ

しかし、何かやり方をちょっと変えると状況が一変するようなことが現実的に起こりうるのでしょうか?

働いている人も同じ、会社も同じという状況で戦略変更によって物事が激変するというのはあまりにも安易な期待と言わざるを得ません。

戦略を変えたことによって戦況が完全に反転するようなことは、それこそ漫画やヒーロー戦隊ものでしか起こり得ないことであり、実際にはそれほど頻繁に起こる話ではありません。

まず資金・人員・知財などの資源の「量」を確認すべし

戦略変更によって物事が激変しにく理由の1つとして資源量の問題があります。

すなわち投入資源量が変化していなければやり方を変えたところで物事が激変することはないのです。

戦国ドラマなどをイメージして下さい。敵軍が攻め込んで来たときの伝令の第一声は敵軍の兵士の数です。その数を聞いて目を見開く我軍の将、というのが典型的な絵ですようね(笑)。

そう、やはり戦略においてもまずは物量が基礎になります。

すなわち戦略分析においては定性的な議論の前に投入資源の量について確認・分析することが最も重要です。

そもそもこの投入資源量が違いすぎれば、やり方の違いなど全く関係なくなってしまいます。

300人の兵士で1万人に勝てるという設定はもはや映画でしか起こりえません。

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」は孫子の有名な言葉ですが、そもそも相手との戦力差があまりにも大きすぎて戦闘にならない場合には戦闘を行わないという判断になるので「殆からず」なのです。

逆に言えば戦闘の前から勝負がはっきりとわかるくらいの分析を行うことが戦略家として最も重要なことになります。

最後に

筆者はコンサルタントとして企業における戦略分析をいくつも目にしてきましたが、数倍のR&D資源量をもつ競合に対して伍していくというものが多くあり、いわば上記の漫画や映画のような内容のものが多かったです。

現実を直視し、本当に勝つための戦いをするためには「量」の議論は避けて通れません。

皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。

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