グローバル企業の本社機能は日本に置くべきではない – その理由とは

経営戦略
Peter MolによるPixabayからの画像

グローバル企業の本社機能とは

この記事は日本語で書いているので日本企業を対象として想定した内容になっています。

日本企業なので本社所在地は当然日本ですよね。

ただ、だからと言って安易に本社機能そのものを日本に置くべきかどうかは、しっかりと考えるべきだと思います。

この記事のポジションとしては本社機能の場所は日本以外の方が良いというものです。

グローバル企業という以上、本社は日本にあるものの、その活動は海外の少なくとも複数国に展開されているという前提です。

その場合、本社機能はその活動全体を統括する機能であるべきです。

日本企業の場合にはほとんどの場合、その活動の中心が日本にあると思います。

それは販売なのか開発なのか生産なのかわかりませんが、いずれにせよ「重心」が日本にあることがほとんどだと思います。

本社機能を日本に置くことのデメリット

では、本社所在地である日本に本社機能を置くことによって何が問題なのでしょう。

本社機能を日本に置くことのデメリット
  • 日本の活動に偏った判断をしてしまう
  • グローバルな活動に必要な人材が採用しにくい
  • 日本語でのコミュニケーションが増えて海外への展開が遅滞する

日本の活動に偏った判断をしてしまう

日本に本社機能があることによって近くに最大のオペレーションが存在し、そこから得られる情報や意見に基づいた判断になりがちです。

それで別に良いじゃないかという意見があると思いますが、残念ながら往々にして日本市場という市場はグローバル市場の中でも極めて異質な市場であることが多いです。

日本向きの判断をするということはそれ以外の市場から離れる可能性が高いということを意識すべきでしょうが、本社内で実務を行う人までそんな意識が出来ていることはあまりないでしょう。

グローバルな活動に必要な人材が採用しにくい

グローバル企業の本社である以上、ものごとをグローバルに捉えてクローバルスケールで判断していける人材が必要です。

しかしながら日本においてはそのような人材は極めて希少というか皆無に近いので、人材市場へのアクセスが非常に困難です。

日本で本社機能を運営することは、この人材のデメリットをそのまま吸い込むことになります。

日本語でのコミュニケーションが増えて海外への展開が遅滞する

ビジネスの共通言語は英語です。

特定の会社ではグローバルに日本語で共通化してしまっているツワモノもいますが、極めて少数派でしょう。

すなわち、グローバルに何かアクションを起こす、指示を展開する、情報を共有する際には当然ながら英語で行うことが基本です。

日本に本社機能を置けばその前提のコミュニケーションが全て日本語になってしまいます。

もちろん、表面的な情報や公式な情報は英語でコミュニケーションできるでしょう。

しかし、その背景や理由について深いところの情報が捨象され、コミュニケーションが難しくなります。

そのためにアクションが遅くなってしまうというデメリットにつながります。

本社機能を日本に置くことのメリット

他方、もちろんのことながら日本に本社機能を置くことのメリットもあります。

例えば、

  • 会社のオペレーションに熟知した従業員が本社機能の業務にあたることによって効率が高まる
  • 最大のオペレーションを担当する日本地域と密に連携することによって現状のオペレーションを最適化できる
  • 現在のトップ・マネジメント層が日本人中心であり、経営判断への悪影響を回避できる

という長所が挙げられます。

しかし、グローバル企業を志向する日本企業において、上記のメリットとデメリットを比較したとき、どちらが優先度が高いでしょうか。

筆者は多くの日本企業を見てきた中で、むしろ本質的なグローバル対応に苦心する企業が多いのではと思っています。

そんな中、日本に本社機能を置くことのデメリットは極めて大きいのではないかと思います。

最後に

日本企業にとってグローバル化は非常に困難な課題であると思います。

いまいる場所から行きたい場所へ行くためには少々の荒療治にも耐えることが必要ではないかと思い、この記事を書きました。

少しでもなにかの参考になれば幸いです。

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