この記事の内容
必ず必要な官庁との付き合い
企業活動をしていれば何かしらの形で省庁との付き合いが発生します。
特に大企業、中でもテクノロジー系の企業は省庁との会話の頻度が多いと認識しています。
具体的には監督官庁である経済産業省だけでなく、無線や通信を扱うのであれば総務省、自動車関係の技術を使うのであれば国土交通省など、関係する官庁の幅も広がります。
これら官庁との関係づくりは企業にとっても有益なものがあるため上手く活用することが必要です。
企業側の本音: 複数の関係官庁と並列で話をしたい
企業としての官庁との付き合いのメリットは「情報収集」です。
結果として予算支出を受け取ることができるプロジェクトに参加させてもらえるというメリットも当然あると思いますが、そのためにもまずは情報収集が重要です。
かつ、その情報収集を自社にとって有利に進めるためには少しでも周辺にある参考情報を多面的にかき集めたいというのが意図です。
そのため企業としてはできる限り多くの部署・階層・組織の人と会って構造的に情報収集する、あわよくば省庁に対して多面的に影響力を行使したい、というのがニーズになります。
官庁側の本音: 自部門が情報を独占したい
他方、官庁側の意識はその反対方向、すなわちコミュニケーションを独占したい方向へと向かいます。
これは企業活動は省庁における所轄部門の予算を取るための口実として有効に使える可能性があるからで、自部門に予算を持って来るためのネタは自分のところだけで「ガメて」おきたいからです。
すなわち官庁から企業へのコミュニケーションのニーズは独占になります。
ちょっと男と女の異性に対する意識の違いにも似ているような気がしますが、ここでは多くを触れないようにしておきます(笑)。
予算が動きやすい企業への圧力は強い
では官庁はどのような企業とはコミュニケーションを独占したいと考えるでしょうか?
それは「予算を動かしやすい企業」です。
官僚のモチベーションはより大きな予算のプロジェクトを動かして自らの成果とすることです。
そこにプロジェクトの成否はあまり関係ありません。ほとんどの官製プロジェクトが失敗しているからです(笑)。
それよりも大きな予算を引っ張ってこれるかどうか。ここに官僚のモチベーションの源泉があります。
予算を引っ張ってくるために省庁が林立する霞が関界隈では通りやすい企業名というのがあります。
いわゆるビッグネームですね。
このビッグネームは必ずしも優良企業というわけではないです。
例えば新聞紙上で経営破たん懸念が連日報道されているような企業も一種のビッグネームです。
官庁としては民意を受けた議員から様々なプレッシャーを受けているのでこのような企業でも良く反応するのです。
官僚としてはそのようなビッグネームの情報を独占し、それを自部門の予算拡張のネタとして使いたいというモチベーションが働きます。
上手く立ち回るための理由づくりが必要
企業からは官庁に対して薄く広く付き合いたいのに対して、官庁側からは独占欲が働きます。
いわゆる有名な企業の渉外担当者はこのバランスを上手く取り持つことが必要です。
すなわち、自社の監督部門にスネられない程度に広い付き合いを敢行するという動き方が求められます。
自社の監督部門以外と会話するためにはそれなりの理由作りが必要になってきます。
これが必要な立ち回り方となります。
最後に
筆者は外資系企業および日本企業において政府渉外担当の業務を行っていたことがありました。
その際の経験の基づいてこの記事を書きました。偉そうなことを言っていますが、正直に言えばいつも難しいと感じています。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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