この記事の内容
経営戦略は環境における他者と自分との相対関係から利益を最大化していく考え方
経営戦略とはどういうものであるかについて少し議論をしたいと思います。
完全競争=いわゆる市場参加者全員にとって条件が全て同じであるならば、全参加者の利益率は同じ水準に収斂するはずという仮説を設定します。
しかしながら現実の世界はそのようになっておらず定常的に他社よりも確実に利益率が高い企業があります。
これは経営戦略の優位性によってもたらされたものという反証が成立します。
すなわち経営戦略とは競争環境においても他社との差別化によって利益率を定常的に高く得るための方法論です。
競争環境に適合した自分の資源配分の自由度があれば経営戦略の考え方が適用できる
経営戦略の考え方は競争環境の中で他社との関係性を把握しながら資源配分を最適化し、競争優位を築くことが基本形です。
すなわち、競争環境があり、自社の資源配分を動かせるという自由度があれば、そこには経営戦略の考え方を適用できる余地があります。
この競争環境は自社の状況は必ずしも経営が目的でなければならない、ということではありません。
なにかの競争があり、資源(人・モノ・カネ)に動かす余地があるのであれば、そこは経営戦略のフレームワークや方法論を活かす絶好の場面です。
こんな実例あります: レーシングチームを勝たせるための提案
実は筆者はこんな提案をしたことがありますという事例を紹介させていただきます。
それは「レーシングチームを勝たせるための戦略提案」をある企業に行ったことがあるというものです。
クライアントの企業は当時、世界的に有名な自動車レースのあるカテゴリーに参入したばかりの企業でした。
企業として参入の歴史が浅いこともあり、経営陣にはそのレースカテゴリーの状況がよく熟知できておらず、苦戦する同社のチームの状況をテレビ中継で観戦しながらやきもきされていたようです。
特にピットストップの前後で大きく順位を落とすことが散見されたために「ピット戦術に問題あり」という認識を持たれていました。
同社の経営陣はその状況から「ピットストップを速くするためにリソースを投入せよ」という考えを持たれていたようです。
筆者は実際のラップタイムの比較やピットストップの比較、レースのトータルのパフォーマンス等を比較しながら「ピットストップのパフォーマンスそのものはそれほど遜色がない」ことを証明しました。
むしろ問題はベースのラップタイム、特にコーナー(カーブ)でのタイムが遅いためにドライバーに負担を強いた結果がたまたまピットストップ前後で露見していることを事実から証明し、リソースを投入すべきはベースのタイムアップ、特にコーナーワークが悪いことから、それが「マシンデザイナー」の力量差にあることを指摘しました。
そしてリソースを投入すべきはピットストップそのものではなくデザイナー陣であるという提言に至りました。
この検証のデータを見たときのクライアント経営陣の驚きの表情は未だに忘れることができません。
最後に
経営戦略の考え方は非常に万能で、競争環境があることろどこでも使えます。
経営戦略は経営のためのものといった偏見を捨て、どこでどのような力が発揮できるか試してみてください。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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