この記事の内容
総合〇〇会社は市場や事業環境が異なる複数の事業を扱う
世の中には総合〇〇会社と呼ばれる企業が多数存在します。
総合商社や総合電機メーカーなどがその代表例といえるでしょう。
これらの企業の特徴は「性質が異なる事業を1つの企業の中で営む」という点です。
総合商社であれば食料品の貿易と資源鉱山の発掘事業が同じ会社の中に同居しています。
総合電機メーカーであれば発電所プラントの建設事業と民生家電の事業が同居していたりします。
当然ながらそれらの事業は市場や競争環境など、事業として全く異質のものですが、その企業の中に存在しているという状態になっています。
総合〇〇会社の経営企画業務はポートフォリオ管理に近い
この総合〇〇会社における経営企画業務とはどんなものなのでしょうか。
異なる事業を束ねてそれらの数値、業績動向をモニターする業務がほとんどになると想定されます。
すなわち、各事業をポートフォリオの一部とみなし、そのトラッキング・モニタリング、いわばポートフォリオ管理を行うのが経営企画の仕事の中心になると思います。
一見花形のように見えるが事務量に圧迫されて考える力を失う
このような「総合〇〇会社」の経営企画のポジションと言えば、いわば大会社の頭脳に相当するため、一見するとエリートコース、花形ポジションのように見えます。
実際、この経営企画のポジションを幹部への登竜門としてキャリアパスを組んでいる会社もあるのではないかと思います。
しかしながら、ここには落とし穴があると言わざるをえません。
このような大会社の経営企画では、多種多様の調整業務がやってきます。
もちろん、それは企業運営上は必要な仕事で、それらを怠れば経営陣にとって業務が回らないようなことが発生するため、会社のいわば血流を整えるためにはとても重要な仕事です。
しかしながら、これらは日常業務なのです。
何が言いたいかというと、経営企画という頭脳のような部署のように見えて、その実態はオペレーション、すなわちタスクを右から左へと片付けていくことが中心になってしまうのです。
しかも、これらの業務の中心が経営陣の意向を慮る、内部でのコミュニケーションを調整する、日程を管理する、と言ったものが多いため、いわば経営を考えることからどんどん遠ざかっていきます。
そのような業務に圧迫されているうちに、このようなポジションにいる方々は経営を考える力を失っていくのです。
結果的にはポータブルスキルが弱まる一方の業務に
このような経営企画としての調整業務は当然ながら企業内では重宝されるでしょう。
これによって会社が上手く回っていくわけですから。
しかしながら、この業務によっていわば企画能力や経営戦略の能力が身につくわけではありません。
この「総合〇〇会社」における経営企画で身につけられる能力や経験は会社の外には非常に持ち出しにくいもの、言い換えるなら、外部の会社にはアピールできないもの、になります。
結果としていわゆる「ポータブルスキル」が身につかない経験値となってしまいます。
「調整やさん」から抜け出すためにできること
ではこのような調整仕事に追われてスキルが身につかないループから脱出するためにはどのようなことができるでしょうか。
もちろん異動や転職はオプションに成りえますがあまりにも芸がないので、経営企画にいるままでという前提のもとに考えてみたいと思います。
- ある特定事業の問題を深掘りするためのプロジェクトを立ち上げる: 仕事量としてマネジメントできるかという問題はありますが、1つの課題を深く考えることによって経営戦略のスキルが身につくことがあります。
- 外部のコンサルタントと仕事をする: 経営企画の仕事のスコープはそのままに外部のプロフェッショナルと仕事をする機会ができればそれに飛び込んで彼らの仕事から学ぶというのもありでしょう。
他にも選択肢としてはあり得ると思いますが、いずれにせよ何かの工夫をしなければ簡単に陳腐化してしまいます。
最後に
筆者は何人もの総合電機メーカーの経営企画の方と一緒に仕事をしたり、あるいは何人もの総合商社の経営企画の方を面接したことがあります。
総じて彼らの経験に共通する問題点をこのブログ記事にて書かせていただきました。
彼らの多くが業務に忙殺されながらも結果としては得るものが少ないことに問題意識をもったというのがこの考察のきっかけです。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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