この記事の内容
調達・購買の役割とは
企業の中には調達部門あるいは購買部門と呼ばれる部署があります。
比較的規模が小さな企業であればこのような機能は総務や工場のようなところに分散しているものですが、企業規模が大きくなってくるとスケールメリットを活かし数量集約効果による価格低減を狙うために集中化して部門化してきます。
すなわち調達部門や購買部門の機能それ自体は他の部署の機能の一部が分化したものにすぎませんが、これが部門としていることの意義は「安く買うこと」にあります。
その「安く買うこと」が調達や購買と呼ばれる部署のレゾンデートルになります。
安く買うために必要な計算能力
安く買うためには大阪での買い物のように「ちょっとまけてや」と言うこともそれなりに効果はありますが、企業間取引ということを考えた場合にはこれでは実効性に疑問があります。
では企業間取引において安く買うためのスキルとして何が必要なのでしょうか。
それは
「サプライヤーに対して価格合理性を説得する力」
です。
例えば、
- 別のサプライヤーA社があの性能であの値段だから仕方ない
- 仕様を省いたことによって買い手側にXX円の負担を強いているからこの価格だ
などの納得性を持たせられるかどうかです。
しかし世の中には価格の妥当性を証明しにくいものがあります。
特に代替製品が存在せず相場がわからない、製造工程が不透明なものなどはその例となります。
価格を分解するために必要なのは会計スキル
ではそのような製品の価格構造を読み解いて妥当な価格を特定し、その価格でサプライヤーを説得できるスキルとは何なのでしょうか。
それは「会計スキル」です。
会計スキルがあればその製品の利益構造や原価構造を分解して、各要素についての検証ができます。
ある程度分解された原価単位であればそれがどのような相場に基づいていて割高なのか妥当なのかを比較的に平易に検討することができます。
しかしながら原価構造を要素単位に分解しないままその妥当性を検討することは至難の業となります。
調達や購買に求められるスキルは会計スキルであると筆者は訴えたいと思います。
最後に
企業における調達や購買といった部門の方々は、その会社の中でもキャリアパスの面であまり重視されていないことが多いのです。
しっかりとした仕事のやり方や業務スキルを身につけることで大いに目に見える成果を上げることができる機会にあふれた役割だとも言えます。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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