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協業パートナーが突然の経営リスクに直面する可能性も
新型コロナ感染症パンデミックの影響により、世界の事業環境は大きく変異しました。
当然ながらこの環境下で生存できる企業、生存できない企業の峻別が起こることが想像されます。
このような環境の下では、これまで一緒に協力して事業を行ってきたパートナー企業が突然の経営破綻に見舞われることもあるでしょう。
このような不確実性がある日突然発現するのが、これからの世の中と言えます。
自社を守るためにはパートナーからの離脱が必要
もし協業パートナー企業の経営破綻リスクが急激に高まった場合にはどうすべきでしょうか。
もちろん協業のスキームやスタイルにも依存しますが、基本的には自社の事業への影響を最小化するために、その企業との協業からはできるだけ遠ざかることです。
すなわち協業関係の解消が必要になるわけですが、これを相手企業がまだ破綻していない状態で行うことが最も難しいと言えるでしょう。
なぜならば相手方は自社が経営破綻しそうな状況においては協業を続けたいと思うからです。
このような協業関係の解消は非常に重たい作業になることが予想されます。
リスクが顕在化しているなら正面から話して理解を得る
もしもリスクが顕在化している、例えば協業パートナー企業の財務諸表に明らかに悪化傾向が見られるなどの場合には比較的状況は簡単です。
そのような証拠と自社の観察や判断を元に真正面から話して説得に努めましょう。
協業スキームが契約に基づくものであるならば契約の中に解消条項が存在するはずです。
基本的にはそのような解消条項に基づいて合意を行うべきですが、そもそも契約とは双方合意に基づくものなので、解消条項が機能しないような場合には契約の見直しも含めた対応も行うべきです。
リスクが表面化していないなら静かに素早く離脱する
リスクが表面化していない状況、すなわち外から見える情報だけでは経営破綻の可能性が証明しづらいが、状況的に破綻リスクがかなり高まっているような場合においては状況が厄介です。
特にこの協業がExclusive(排他的)なものである場合には他に逃げ先となる選択肢がありません。
まずは破綻時のリスクを最小化するために事業規模を縮小するなどして、極力距離を置くようにするべきです。
ここも契約の条項の見直しを行うなどの準備を日頃から行っておき、負債となり得る条項をできるだけ減らしておくことが必要です。
それでも難しい場合には第三者の力を利用する
上記のような対応をとってもなかなか経営破綻リスクが高まる協業パートナーからの離脱が難しい場合には、第三者の力を活用することも視野に入れて下さい。
最も使いやすい第三者は顧客、すなわちVoice of Customerという形で迫ることです。
「大口顧客のAさんが懸念されているのでしょうがない」
などの圧力を上手く使いながら、リスクを軽減していきましょう。
最後に
筆者はある協業パートナー企業が経営破綻に直面する中で、その企業への委託を終結させるという難しいプロジェクトを行いました。
委託業務が減少することによってそのパートナー企業が破綻するリスクも加速度的に高まるという状況の中でギリギリのバランスを取りながら、当該企業への風評被害を抑えるべく一方で顧客への説明も慎重に行うという難しいプロジェクトでした。
特に関係が長い企業の場合には当該業務に関係する方々の感情も絡んで来るため、意思として何をしたいのか、どこに向かおうとしているのかを絶えず示し続けることが必要です。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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