世界有数のビジネススクールIMDの教授が教える交渉のテクニック

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Gerd AltmannによるPixabayからの画像

IMDは世界有数のビジネススクール

IMDというビジネススクールをご存知でしょうか。

ビジネススクールとは

経営学および関連した科目を教える学部から大学院レベルの高等教育機関

Wikipediaより

のことを指します。

IMD(International Institute for Management Development)はスイスのローザンヌに拠点を置くビジネススクールで、常にビジネススクールランキングのトップクラスに名前が挙がる有名校です。

交渉術専門のSemeh Abadir教授が交渉のエッセンスを紹介

IMDにおいて交渉術を専門とするSemeh Abadir教授が、その交渉術のエッセンスを紹介しています。

Complex deal-making

この動画の中では交渉術だけでなく、成長企業の要素などについても紹介しているのですが、この記事では交渉術のエッセンスについて語っている内容のうち、筆者が気に入った部分をピックアップしたいと思います。

相手の面目を保つ

まずAbadir教授が強調しているのが「相手の面目を保つ」ということです。

交渉を成功させるためには、交渉相手がこの交渉に対してコミットし続けている状態が重要です。

もし全く逃げ場がない状態に追い込んだり、途中で交渉の失敗を確定させるような状況にまで相手を追い込んだ場合、その交渉相手は交渉を継続するモチベーションがなくなり、交渉の両者にとって最悪の結末になろうとも全く意に介さなくなってしまいます。

教授が挙げた例としてはキューバ危機では米国がロシアの外交官と友好な関係を結んでいたことによってキューバを追い込みすぎることなく譲歩の余地を残したことが最終的に核ミサイル発射という最悪の状況を回避することに大きく貢献したということでした。

教授は「第3の交渉チャネルをもつこと」「決してハシゴを外さないこと」がとても重要だと伝えていました。

心理的要素がますます重要になる

交渉には経済的要素と心理的要素の2面があります。

経済的要素はすなわち金勘定=儲かるかどうかという点ですが、世の中の情報共有が進むにつれて経済的要素で何か差をつけることは難しくなっています。

すなわち交渉を行っている両者にとって価格情報が透明になっており、ここで有利・不利をつくり出すことが難しいということになります。

したがって、心理的要素を使った交渉がさらに重要になってきています。

教授が紹介した心理的テクニックのいくつかを紹介します。

謙虚になって周りの状況に注意を払う

相手のちょっとした仕草や交渉場所でのちょっとした観察が交渉の状況認識に大きな差を生み出すことがあります。

そのような「弱いシグナル」に対して敏感であるためには常に謙虚であることが必要だと説いています。

全てにおいて「自分は何でも知っている・理解できる」と思っている場合、とてもか弱く重要なシグナルに気づくことがありません。

常に「何かわかっていないことがあるはず」と謙虚な気持ちを持ち、弱いシグナルを捉えることが大切です。

良いニュースは分ける、悪いニュースはまとめる

心理学の実験で、

A. 散歩中にある日 2,000円を見つけて手に入れた

B. 散歩中にある日 1,000円を見つけて手に入れ、次の日にまた1,000円を見つけて手に入れた

の双方を比較した場合、どちらが得をしたと感じるかというものがあります。

心理学的にはBの方が得をしたと認識する人の率が圧倒的に多いようです。

一方で財務的な価値は利息の分、わずかながらAの方が良いです。

逆に、

A. ある日気づいたら財布の中から2,000円なくなっていた

B. ある日気づいたら財布の中から1,000円なくなっていて、次の日にまた1,000円なくなった

の比較をした場合、どちらが損をしたと感じるかという実験もあります。

こちらの方もBの方が損をしたと感じる比率が高いということがわかっています。

これらの心理的な実験からは、良いニュースはわけて伝えると好感を得られ、悪いニュースはまとめて伝えた方が反感を薄めやすいということがわかります。

いつもポケットに銃を

教授はこのようにも言っています。

顔にはスマイルをポケットには銃を

親切にしてくれる人に対しては笑顔で接し、悪い条件を突きつけてくる相手にはこちらも強硬に対応することが必要ということです。

銃はいつも使う必要はないが、いざというときに使える銃を用意しておくことと、それを必要なときに抜くということが重要ですね。

優れた交渉人とは

教授が考える優れた交渉人とは、時間・距離・自己統制を上手く使うということです。

時間をコントロールすることで相手に考える時間を与えたり、逆に時間を奪ったりすることができます。

距離は一旦交渉の場から引き下がることで自分たちの条件を再構成するための間を作ることです。

そして自己統制ですが、自分自身の感情をコントロールする術を持っているかどうかが交渉人にとってとても重要とのことでした。

最後に

IMDといういかにも西洋というビジネススクールから出てきた交渉術ではありますが、その内容は東洋的な考えが非常に多く含まれているように感じました。

特に相手のことをおもんばかったり、相手との関係を重視する考え方は非常に興味深く思えました。

皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。

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