この記事の内容
コンサルティングプロジェクトでよくある「この人の話を聞いてやって欲しい」的リクエスト
コンサルティングプロジェクトでは社内外の状況を把握するためにプロジェクトの初段階でインタビューを設定することがよくあります。
インタビューというと違和感あるかもしれませんが、これはすなわちヒアリング、質問に答えてもらうことですね。
クライアント企業側のプロジェクトマネージャーあるいは事務局と言われる方と相談して、このインタビュー対象者を決めていくわけですが、これには注意が必要です。
もう少しぶっちゃけると筆者はこれで失敗したことがあります。今回は(も)失敗談の共有です。
「これらの人の話を聞いて下さい」というリストを鵜呑みにしないで下さい、というのが今回の記事の中身です。
クライアントの要望だからと言って安易に受けてはいけない
「クライアントがお金を払っているわけだし、クライアントの要望だから話を聞いてあげれば良いじゃないか」と思われる方もいるでしょう。
筆者としてはこの考えは理解するものの賛同しません。
この場合、クライアントとしては社内でそれなりに重要なポジションにあり、かつ何か意見を持っている人を選ぶ傾向があります。
これが全社の体質改善的なプロジェクトであればそれでも構いません。
しかしながら、全てのプロジェクトがそのように編成されているわけではないでしょう。
すなわち、プロジェクトの目的や範囲とは全く関係の無い人が含まれる可能性が高いということです。
プロジェクトと関係ない単なるガス抜きが含まれるおそれ
例えば、このようなインタビュー対象に社内の慣習に関して日頃から不満のある人が含まれる可能性が高いです。
プロジェクト事務局としては、何か声高に意見表明する人がすぐに目に付きますし、その人の話を聞かなかった場合に後で面倒くさいことになることを避けようとするからです。
筆者の個人的な実例を挙げましょう。
とある通信企業向けのプロジェクトでプロジェクトスコープは社内の資源再配分、特に設備投資や研究開発費の配分を最適化するプロジェクトでした。
このプロジェクトのクライアント企業側の事務局から「この人の話を聞いて欲しい」としてアレンジされた方の中にお客様サポートセンターのセンター長が含まれていました。
この方は日々お客様からの苦情に接しているわけですから、当然現場知識が豊富でお客様からの不満もよく理解しています。
ですのでインタビューが始まるや否や堰を切ったように多くのことを語って下さいました。
しかし、それらのインプットはプロジェクト本来の目的にはほとんど影響がないものでした。
このようにクライアント希望をそのまま鵜呑みにしていては不要な労力を割くことになりかねません。
しかもインタビュー対象者のコメントはプロジェクトそのものには反映されない
たとえそのように時間を割いてインタビューを行ったとしても、プロジェクトの目的に沿わないインタビュー結果はプロジェクトには反映されません。
これはプロジェクトメンバーにとってもインタビュー対象者にとっても双方にとって不幸なことです。
最初から外そう=プロジェクトの目的を強く意識しよう
では、これを避けるにはどうすれば良いか。
最初からプロジェクトの目的を強く意識すること、そして全ての一挙手一投足に対して「これは本当に必要か」という疑問を投げかけ続けることが必要です。
最後に
何のためにを問うことがプロジェクト本来の価値へとつながります。
安易にクライアントへの迎合をすることはお互いにとって良い結果を生みません。
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