この記事の内容
クライアントは異なるモデルから構成される事業の販売戦略に苦慮
クライアントは受動素子などを中心とする電子部品メーカー。
今回のコンサルティングに際しての懸念は
「異なるビジネスモデルからなる事業の販売戦略をどのように組成するか」
でした。
異なる事業モデルには大きくわけると2パターンのモデルがありました。
どのように異なるのでしょうか。
事業モデル1: 大型顧客との個別商談
1つの事業モデルはいわゆる大口ユーザー対象の個別商談です。
これは大口ユーザーの製品開発計画の段階から技術情報も絡めた商談を行い、場合によっては顧客からの個別要求も取り込んでカスタマイズ製品を供給することもあります。
そのため、個別の製品の価格・数量・時期などが早期から特定しやすく、そのために長期にわたって販売計画を立てることができます。
しかしながら、このような事業は大多数を占めるものではありません。
むしろ事業の大半は下記に述べるカタログ販売によって形成されます。
事業モデル2: チャネルパートナーを通じた汎用品カタログ販売
もう1つの事業モデルはいわゆるカタログ販売です。
これは特定顧客の姿があまり見えず、代理店とよばれるチャネルパートナーを介して市場に広く販売されます。
当然ながら事業特性上、カスタマイズ製品が発生することはなく、汎用品をカタログに乗せてそこから選んでもらうという仕組です。
価格についても、数量に応じた価格テーブルがあります。
この事業モデルの場合、事前に発注情報が知らされることはなく、発注が突然来ることがほとんどです。
そして上記でも述べたようにこの事業モデルによる販売数量が過半を占めます。
カタログ販売の先行指標をどう設定するかがチャレンジ
大型商談の場合には中長期の予測が立てやすくなります。
特に自動車や産業機器のような生産寿命の長い製品であればより予測が容易です。
一方で難しいのはカタログ販売の場合です。
なぜならば注文が入ってきてから初めて販売数量予測が立てられます。
本来であればもっと早くから部品の使用有無や使用計画は顧客の内部で決まっていたはずですが、カタログからの注文ということであればそのような情報を取ることが非常に困難です。
近接産業からの代替指標活用を提案
このような問題点に対して
「代替指標の活用はどうか」
という提案をしました。
具体的には電子部品の場合であれば
- PCB基板の売上金額
- 半導体組立業者の稼働率
等が可能性として考えられます。
または大きなマクロ指標としてはGDPや購買担当者指数(PMI)なども可能性があります。
諦めるのではなく使えるものを使って工夫することができるのではないかと提案したことで、クライアントも目から鱗が落ちた感覚のようでした。
最後に
将来の計画を正確に作成することはどの産業にとっても困難なことです。
試行錯誤を繰り返しながらより確かなものへと近づこうとする努力が非常に重要ではないかと考えます。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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