Zoom-Free Fridayとその背後にあるリモートワークの心労

事業運営
TumisuによるPixabayからの画像

金融グループのシティがZoom-Free Fridayを導入

世界有数の金融機関であるシティグループのCEO Jane FraserがZoom-Free Fridayを導入すると従業員に対して発表したようです。

Zoom-Freeとはすなわち「Zoom無し」を意味しますが、Zoomに代表されるビデオ会議を金曜に無くすということを意味しています。

これは規則ではなくあくまで提案という位置づけのようですが、CEOからの提案ということはそれほど強いメッセージであることがわかります。

なぜビデオ会議無しの日が必要なのか

シティグループのCEOはなぜこのZoom-Free Fridayを導入したのでしょう。

彼女が世界各地の従業員と会話する中で気づいたことは、このいわゆる「Zoom疲れ」と戦わなくてはならないということだそうです。

在宅勤務の場合には自宅と仕事の境界があいまいになり、その結果としてずっと仕事時間が続いているかのような状態に陥ってしまうということがわかってきました。

このように仕事時間がずっと続くことによって人間として健康を維持することが難しくなるということをCitiのCEOは認めたということです。

そこで週に1度、Zoom会議の無い日を作り、仕事と自宅の境界をはっきりさせようというのが今回の取組ということだそうです。

Zoom疲れは単一企業の現象か

このZoom疲れがCitiだけの問題かというとそうではありません。

仕事をしている人だけでなく学校に通っている人も、同じようにこのビデオ会議の疲れを経験しています。

スタンフォード大学では、なぜビデオ会議がこれほどまでに疲れるのかに関して調査を行いました。

その調査の内容によると

  1. スクリーン上で自分の姿を見るという非日常的な状況
  2. 同じ場所に居なければならないということ
  3. ビデオ会議における過剰なアイコンタクト

のような要素がZoom疲れを招いているとのことです。

この調査を行ったBailenson教授によると、ビデオ会議は精神的な負荷が高いそうです。

その理由は、非言語的なコミュニケーションに対して通常よりもより多くの注意を払わないといけないからだそうです。

たとえば、合意を示す場合には大げさにうなずいたり、親指を立てるジェスチャーをしたり、ということを注意して行う場合には精神的な負荷もかかっているということだそうです。

Zoom疲れのもう一つの要素

ビデオ会議の場合、移動する必要がないため、途切れること無く連続して会議が入ることが多くあります。

これまで述べたようにビデオ会議は対面でのミーティングとは異なる精神的負荷を課しているため、そこから冷却するためのダウンタイムが必要になります。

しかしながら、連続して会議が入ってしまうとそのダウンタイムの確保が難しくなります。

ビデオ会議の無い時間を設けることは、そのダウンタイムの確保とビデオ会議の内容の咀嚼という点でも効果があります。

最後に

新型コロナの影響により、多くの企業がリモートワークを導入し、生産性の面では効果を発現しつつあります。

しかしながら、その犠牲として従業員の精神面にかかる負荷の部分については、ソーシャルメディアを中心にその体験談が語られる一方、科学的な分析や企業としてのその対応についてはまだまだ未成熟な分野と考えられます。

リモートワークやビデオ会議の影響について社会全体としての理解が進み、より持続可能な労働環境が普及していけばと思います。

皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。

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