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契約解除はビジネスにはつきもの
長い期間ビジネスを行っていれば、おそらく必ず契約解除の場面に遭遇するか、あるいは自分自身で契約解除の当事者としてマネジメントを行うことが必要になります。
契約解除の対象はサプライヤーであったり、パートナー企業であったり、あるいは従業員ということかもしれません。
これらの契約はほとんどの場合、有期限であったり条件付きであったりするので、期限が来るあるいは条件が変わることによって契約解除となることは普通のビジネス慣行においてあり得ることです。
あるいは、経営者の意思によって意図的に契約解除ということがあるかもしれません。筆者はこのようなケースにも何度か立ち会いました。
契約解除がいつも簡単というわけではない
しかし契約解除が普通に起こりうるということと、それが簡単かどうかということはイコールではありません。
例えば、長年一緒に働いてきたパートナー企業に対して契約解除を通告しなければならない。このような仕事を担当する方の気持ちはおそらくそれほどポジティブなものではなく、どちらかというと「やりたくないな」と思うのではないかと察します。
これについては契約解除をされる側も同じことです。さらにはそれが売上の減少、雇用の喪失ということに直結するのであれば、その抵抗感はさらに大きく増すものと想像されます。
一番わかりやすい例が雇用解除だと思います。これは通告する側も通告される側も、できればやりたくない、聞きたくない、そのようなプロセスだと理解します。
このように、契約解除は普通の出来ことですが簡単ではないのです。
文書で見えるところと見えないところの両方に着目せよ
契約解除なぜ「簡単ではない」のでしょうか?
それは契約文書に書いてないことに対して留意する必要があるからです。
通常の契約であれば解除条件が明確になっています。
ほとんどの場合、解除はその条件に沿って行われるので難しいも何もありません。
解除条件を明記して「○条○項に基づき これを解除する」だけで済む話のはずです。
これだけであれば難しい理由は無いのですが、これが難しい理由は、文書に現れない見えない要素があるからです。
大きく分けると2点です。
- 道理: 条件としては理解するものの社会常識や社会通念上それはないだろうというもの
- 感情: 条件や道理は通っているが気持ちとして納得がいかないというもの
この全ての要素をコントロールすることがよりスムーズな契約解除の秘訣となります。
条件・道理・感情のそれぞれに応じた対応を心がける
おさらいすると
①契約書に表記された条件
②社会通念上の道徳・道理
③人間としての感情
のそれぞれの要素がどのように作用してくるか、またそれに対してどのように対応するかがポイントです。
例えば10年以上一緒にビジネスをしてきた代理店の契約解除を行うとします。
6ヶ月前通知で双方どちらからでも解除可能という条項に基づいて一方的に書面を送りつけて解除。
これは条件としては可能です。
しかし、これまでの貸し借りで大量の在庫をその代理店が保有していた場合、その対処を議論せずにただ解除というのは、これは道徳上問題です。これが2番目の要素ですね。
さらに、全く会話せずに書面と弁護士の対応だけで契約解除をした場合「いままで一緒に頑張ってきたじゃないか」という怒りの感情を持たれるかもしれません。これが3番目の要素ですね。
この例は極端なケースですが、しかしながら契約解除のプロセスにおいてはこういうバランスを常にみながらプロジェクトをマネジメントしていくことが重要です。
最後に
筆者は過去の仕事の中で何度か難しい契約解除の局面に自ら直面し、それらをマネージしてきました。
プロフェッショナルとしては契約の条件に忠実にクールに物事を動かし、そして相手の感情には温かく配慮する。
これが契約解除においては大事だと信じています。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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