特許を攻撃的に利用する: オフェンシブライセンシングのススメ

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特許は自社あるいは自分が発明した技術の利権を守るためにある

特許という言葉はビジネスシーンで良く使われますが、具体的にはどのようなものかご存知でしょうか。

特許とは、「発明」を保護する制度です。特許制度は、発明をした者に対して、国が特許権という独占権を与えることで発明を保護・奨励し、かつ、出願された発明の技術内容を公開して利用を図ることで、産業の発達に寄与することを目的としています。
 特許を受けるためには、発明について特許庁に特許出願をし、特許庁の審査をクリアする(特許査定される)ことが必要です。特許査定されると、出願人がその発明についての特許権を取得し、出願日から原則として20年間、当該発明の利用を独占することができます。

https://www.businesslawyers.jp/practices/299

国によって制度の詳細は異なりますが、概ね上記のような制度が特許制度となります。

上記引用の第一文に書かれているように発明の権利を保護し、それによって発明を奨励することを目的としています。

基本的に発明した技術の利権を守るためのものと理解できるかと思います。

通常の特許の使い方とは違う攻撃的な使い方が存在する

そこでこの「オフェンシブライセンシング」です。

攻撃的なライセンシングとは何だろうと思われるかもしれません。

特許によって保護される発明を利用したい会社や個人が、ロイヤリティを支払って利用することをライセンシングと言います。

今日現在、さまざまな工業製品に使用されている特許は非常に複雑で、他社の発明ということを知らずに使っていることも頻繁に発生します。

その利用の事実を積極的に見つけ出し、特許料(ライセンス料)を請求するというアクションを自ら展開し、そして収益源としていく活動をオフェンシブライセンシングと呼びます。

また、実業を持たずに特許だけを保有して、事業会社に対してオフェンシブライセンシングを繰り返す会社をパテント・トロールと呼んだりもします。

このオフェンシブライセンシングは通常のライセンシングと異なり、アクションの起点が特許保有者です。

特許のライセンシングにはこのような使い方もあるのです。

オフェンシブライセンシングは大きな利益をもたらす可能性も

しかも、このオフェンシブライセンシングを重要な収益獲得活動として位置付けている会社もあります。

発明を利用している会社に訪問し、交渉を行う専門の弁護士・弁理士チームを抱える会社もあります。

上手く利用して活動すればオフェンシブライセンシングは良い収益源になる可能性も秘めています。

実行には精神戦を戦う気構えと高度なスキルが必要

しかしながら、その実行は言葉の印象ほどには簡単なものではありません。

具体的には訴訟をちらつかせながら交渉するなどタフなものが多いです。

また相手の会社の経営者あるいはその主要顧客企業の経営者に「特許を不正利用している」という旨の書面を送りつけたりなど、自身にとってもリスクの高い交渉戦術を用いることも頻繁にあります。

さらには、交渉相手側にも専門的な弁護士や弁理士が登場し、主張が完全に押さえつけられてしまうということもあり、本当に交渉に行く人間には高度なスキルや専門知識が求められます。

ただしこれらの高度な交渉や専門知識の活用が実行できるのであれば、オフェンシブライセンシングはツールとして非常に有効なものになります。

最後に

筆者は実際にこのオフェンシブライセンシングの交渉に関わったことが何度もあります。

技術的に難度の高い知識を駆使しながら、その文書の定義の間隙を捉えて交渉戦術を紡ぎ出すプロフェッショナル同士の戦いは非常にエキサイティングです。

特許はこのような使い方もあるということを知っていただければと思います。

皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。

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