この記事の内容
品質にはハード面とソフト面が存在する
筆者は製造業での経験が長いのですが、その中で製品の品質管理・品質保証に関する議論を何度も経験してきました。
この品質保証の議論の中で主張したいことはハード面とソフト面の両側面があるということです。
これらの両面を持って、顧客は「品質」として理解していることが多いので、議論を行う際には何に対して改善しようとしているのかハッキリと理解することが必要です。
品質のハード面は製品の能力の一部として数値化できる
上記の品質のハード面は不良率という形で測定することが可能です。
これはいわば製品のスペックの一部のようなもので、数値での議論が可能です。
したがってこの品質のハード面については、それを伝える人・それを受け取る人による違いは特に発生しません。
あるのは単に不良率という%やppmの数字の話だけです。
品質のソフト面はマネジメントやコミュニケーションの能力
他方、品質のソフト面の議論は多大な複雑性を伴います。
例えば、発生した品質問題が実際に供給者側の問題なのかあるいは利用者側の使用方法の問題なのか、これらを切り分けたり、その結果を顧客に理解できるように説明する能力。
またそれを顧客が期待するスケジュールの範囲内で迅速に行うタイムマネジメント。
これらが問題解決能力という軸の中で整理をされて実際の顧客という人間を相手にしっかりと実行されなければなりません。
これは非常に高度なスキルではありますが、これが品質に関わるソフト面の要素です。
品質マネジメントと呼んでも良いかもしれません。
最終的にはハードとソフトの総合力が顧客に知覚される
結果的に顧客が「品質」として理解するのはこれらの総合力です。
いかに不良率が低くても、それを伝えるコミュニケーションに不快感を感じれば、それは品質が低いという認識に変わるかもしれません。
あるいは不良率自体は高い製品であっても、それがなぜ発生しているのか、あるいはどのように使えばその不良の影響を回避できるのかなどを十分に説明してもらえれば、結果的にそれは品質が良いという認識になる可能性もあります。
したがって、この品質のハード面とソフト面が両者揃うことによって対顧客での品質の保証・コントロールが可能になります。
品質を良くしたいというメーカーの方は、それらのどの問題を解決したいのかをしっかり考える必要があると思います。
最後に
品質のソフト面の議論は非常に複雑で、特に外資系のメーカーの場合には品質に関わる哲学自体が日本のメーカーと大きく異ることがあるため、そのコミュニケーションには非常に大きな苦労を伴います。
一方、ハード面での品質が低くてもソフト面をコントロールすることによって十分に戦える素地を作ることができるので「スキルによる品質」は作り出すことができるという意識を持ってもらえればと思います。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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