従業員の年齢構成は未来を予見するための重要指標

経営戦略
Gerd AltmannによるPixabayからの画像

事業の性質を測るための指標の多くは財務指標

ある事業がどのような状況にあるかということを評価する場合、多くの指標は財務指標を用います。

もちろん、マーケットシェアであったり、顧客からの評価、戦略的なポジション評価のような定性指標を使うこともありますが、その多くは結論として財務指標をどのようにサポートしているかを示すために使われるものが多いと思います。

これらの指標は現在の事業の状況を示す上では有効だと思いますが、将来にわたっての活動レベルを示唆する上では不十分だと考えます。

事業の未来を予測するために有効な指標が従業員年齢構成

そこで非常に参考になる指標として考えるのが従業員の年齢構成です。

この指標はその事業の主要拠点が在籍する国によっても大きく異なりますが、企業への平均在籍年数が長めの欧州や日本などの国を主要拠点とする事業においては精度よく機能すると考えます。

もちろん、日本でも退職や採用によって年齢構成自体が変化することはありますが、それでも全体の数%が上限といったところでしょう。

母体となる集団の構成自体はそれほど大きく変化しないものと考えられます。

5年後・10年後の人員構成が見えればそこへの経路もわかる

さて、母体となる従業員集団の年齢構成がわかれば、将来のシミュレーションも行いやすくなります。

5年後の従業員年齢構成はどのようになっているでしょうか?10年後はどのようになっているでしょうか?

もちろん、日本も含めて様々な国において定年退職の制度自体が変化していくことが予想されるので、定年のタイミング自体に多少のズレが発生することはあり得ると思います。

それでも、シミュレーションのシナリオの中に複数のパターンを組み込んでおけばそれなりに予想できると思います。

さて5年後・10年後の姿は見えたでしょうか?

その姿が想像できたなら、その状態で事業がどのように運営されているかのイメージも作りやすくなります。

さらに、現在からその状態までの遷移のイメージができるようになります。

これで事業運営の将来像のイメージができます。

現在と将来をつなぐ経路によって事業判断も容易になる

上記の将来の運営イメージができたなら、財務指標のシミュレーションもよりしっかりとしたものになるでしょう。

また、事業運営イメージによって様々な判断がしやすくなります。

例えば、営業組織のマネジメント人材が不足していくのであれば組織の統合考えなければなりません。

メンバー構成的にある製品の開発継続が難しくなるようであれば、事業売却も含めた判断が必要になるかもしれません。

このような細かいレベルでのシナリオも年齢構成の情報によって行いやすくなります。

最後に

筆者は、ある事業を継続すべきか売却すべきかで困った際に、上記の指標を用いて関係者を説得したことがあります。

その事業は非常に高齢化が進んでいて、使用する機器も老朽化がひどかったので、長期的に製品開発が継続できないという判断をしました。

財務指標としてはピカピカの事業だったのですが、年齢構成などを考えなければ導出が難しい結論だったと思います。

皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。

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