ストックオプションが机上の空論になる理由とその対策

事業運営
Sergei Tokmakov, Esq.によるPixabayからの画像

ストックオプションは従業員の動機付けツールとして有効とされる

ストックオプションとは、未上場企業であれ上場企業であれ、自社の新株予約権あるいは自社株を割引価格で購入する権利を給与・報酬の一部として従業員に与えるものです。

これによって従業員は自社の株価に対して興味を持ち、また自社の株価を上げることに対する動機が上がることによって会社業績へ貢献するモチベーションが高まるというのがストックオプションの動機付け効果とされています。

さらに、従業員の活動が会社業績に反映されて、さらに株価に反映されるまでにはある程度の時間を要するため、長い期間会社の業績に貢献するという従業員リテンションの効果も期待できます。

しかしながらその効果は様々な制約により期待したほどではない

しかしこれらはいわば「理論的な効果」であり、実際の従業員の立場からするとそこまでの効果は無いと言えます。

いくつか事例を挙げて見てみましょう。

従業員
従業員

結局のところ株式市場次第。

自分の頑張りは関係ないよね

これは典型的な反応だと思います。

従業員としての自分が頑張ったところで株式市場が企業業績をどう評価してそれが株価にどう反映されるかなんてわかったものじゃない、という反応です。

従業員
従業員

自由に売れない金融資産なんてリスクが大きすぎる。

時間を待たずにさっさと売りたい。

従業員は業績情報を知る可能性があるため自社株式を売ることができるタイミングに制限があります。

そのような金融資産は自由度が低いため、持っていること自体がリスクという考え方です。

このように、ストックオプションにはその効果に制限があり、机上で考えられているほどには上手く作用するものではないのです。

本来の期待を満たすためには異なる仕掛けとの組合せが必要

それでは、本来のストックオプションへの期待を満たすためにはどうすれば良いでしょうか。

本来の期待とは1. 会社業績への貢献への動機付け 2. 長期コミットメントへの動機付け です。

会社業績への貢献への動機付けですが、これはシンプルにボーナス・賞与の計算方針が最も効果が高いと思います。

すなわち、会社としての業績とボーナスの決定計算式を一致させるわけです。

これによって従業員としては会社業績がどうなるか、どうすればボーナスが増えるかを意識することができます。

ただし、ボーナスはキャッシュを使う必要があるので、財務経営という点ではデメリットもあります。

長期コミットメントへの動機付けですが、これは逆にストックオプションの付与のタイミングをコントロールすることが効果的だと思います。

付与を1年後・2年後・3年後・4年後とすることで「短期で会社を退職すると損」というメカニズムを作れば、否が応でも長期にコミットせざるを得ません。

ストックオプションそのものに効果を期待するのではなく、その付与の仕方を工夫することで新しい効果を作り出すということです。

最後に

ストックオプションに対して打ち出の小槌のような効果を期待する人がいますが、現実はそうではありません。

そのリスクをちゃんと理解した上でこのツールを正しく使えるようであれば、非常に便利なツールでしょう。

筆者は経営としても従業員としてもこのストックオプションの導入に触れたことがあり、その是非について様々な検討・考慮を重ねてきました。

皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。

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