この記事の内容
紹介会社経由でのフォーラムインタビュー形式
昨日は海外籍のスポットコンサルティング紹介会社から紹介されたフォーラムインタビュー形式のコンサルティングインタビュープロジェクトでした。
この紹介会社、グローバルに拠点があり、特に米国案件・中国案件に強みがあるのですが、今回の筆者の担当者は香港の担当者でした。
香港の機関投資家を集め、エキスパートインタビューという形式で、投資対象企業(おそらくアジア籍)が属する市場動向についてのインタビューを行います。
筆者からはファシリテーターの声しか聞こえませんが、ファシリテーターの向こう側には複数のアナリストやバイサイド投資家がいてインタビューの様子を聞いていたものと思います。
インタビューは英語/電話にて行われました。
主題は地政学を含めたパワーマネジメントIC(PMIC)の市場動向
インタビューの主題はパワーマネジメントIC(PMIC)と呼ばれる半導体の市場動向に関するものでした。
パワーマネジメントICとはプロセッサ等の駆動をする際に電流・電圧等を細かくコントロールする必要があるのですが、その電力制御を行うための半導体です。
用途はパソコン・スマートフォン・産業機器・家電・自動車など多岐にわたり、それぞれの用途について異なった要求があります。
このPMICの領域はテキサス・インスツルメンツを代表とする米国籍のメーカーが強いのですが、欧州勢ではインフィニオン・テクノロジーズや日本のロームなども代表的なメーカーです。
今回のトピックは地政学的な影響やCOVID-19の影響も含めた市場動向がメインでした。
アジアのプレーヤーと米国のプレーヤーの競争状況
特に議論が集中したのは貿易戦争やCOVID-19によってマーケットシェアに影響があるかというものでした。
おそらく投資家やファシリテーターが持っていた仮説は「この市場環境が続けば、これからアジアのメーカーが勝てるのではないか」というものと想像しました。
確かに台湾籍のSilergy社をはじめとしてアジアのプレーヤーは成長しており、貿易戦争によって米国籍の会社が中国でのビジネスが難しくなれば、さらにアジアのプレーヤーにとっては有利な土壌ができます。
しかしながら、物事はそれほどシンプルではありません。
1つは、PMIC自体の技術集積性が米国の輸出規制上それほどセンシティブなものになっていないという状況があります。
将来については確証はもてませんが、現時点においては強い規制がかかっておらず米国技術の製品であっても中国への輸出は可能な状況です。
もう1つは、アジア対米国というほど構図が簡単ではないということです。
もちろんのこと欧州のプレーヤーもいますし、アジアと言っても韓国や日本など様々な国があります。
それらの構図を全て捉えた上でどのような競争ポジションを取るかということが具体的に要求されます。
最後に
今回のフォーラムインタビューは時流に合ったとても興味深いものでした。
スポットコンサルティング紹介会社とはプロジェクト実績を重ねることによって、より筆者の能力や知見にあったプロジェクトを紹介してもらえるようになるので、今回の実績も相互理解のための実績として機能してくれることを期待しています。
また、このように機関投資家というプロの集団の問題意識に触れられることは筆者にとってもより良い経験を与えてくれるのでとてもためになります。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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