研究開発費比率が高い産業・企業における事業部組織の最適化
課題: 事業部組織の定義は製品軸か用途軸か
クライアント企業は化学系のメーカーでした。事業部制で収益を最適化したいと考えていましたが、その事業部の編成の軸を製品別とするか用途別とするかが課題認識でした。
製品別組織は製品開発が効率的ですが、独りよがりな製品企画あるいは複数の市場ニーズが混在した製品企画となり、市場のニーズを捕捉し切れないというリスクがあります。
他方、用途別組織は市場のニーズに最適化した製品企画を行えるというメリットがありますが、ともすると非常に規模の小さなニーズに対して経営資源を投入してしまうリスクが高まります。
これらのトレードオフをどのように見極めて、最適な組織設計を行うかが本プロジェクトの命題でした。
アプローチ: 競合企業との開発費比較による差別化戦略再精査
そもそも組織の最適化は競合企業との競争に勝利することが目的です。組織設計はその規模・陣形で競合企業に対して優位か否かを重視しなければなりません。
本プロジェクトではクライアント企業が製品を供給する主要市場における競合企業が各市場に投下する開発費を算定し、自社と比較することによって、そもそもの市場ニーズの理解の優劣の議論なのかそれ以前の議論なのかを明確化しました。
そもそもの戦力、すなわち開発費が競合の水準に全く及んでいない市場においてはその資源投下の是非から見直すことが必要になるわけです。
成果: 製品軸組織における用途別戦略構築
産業全体の中で中堅規模であったクライアント企業としてはまず開発費資源を集中化して競合とある程度比肩するレベルに到達することが必要です。
上記のアプローチの結果として、製品別組織を採択し、開発費の規模の最低レベルを確保することを優先させました。
他方、各製品別組織における主要用途については、各製品別組織の中での優先順位に従い、資源集中を図ることでより用途別戦略を先鋭化することができました。