この記事の内容
顧客の課題を解決する手段を提供することで製品やサービスの価値を高めるのがソリューション型ビジネスモデル
ソリューション型ビジネスモデルという言葉を耳にすることが増えてきました。
これは顧客が認識している課題の解決を支援することによって製品やサービスの付加価値を高め、それによって顧客からより選好してもらうあるいはその付加価値に応じた対価(価格)を得るということを企図したビジネスモデルです。
日本の人口が減少に転じ、多くの個人や企業が既存の製品やサービスだけでは満足できない状況の中、差別化のために多くの企業で取り入れられている手法です。
多くの企業が標榜するソリューション型ビジネスモデルは実は万能ではない
しかし、このソリューション型ビジネスモデルですが、多くの企業で取り入れられていますが、どのような状況によっても効果があるわけではありません。
たとえばある部品メーカーが「ソリューション」と称して、完成品全体まで仕上げることをサービスとして取り入れた場合、その部品を買っている顧客としては「新しい競合企業が誕生した」とみなすでしょう。
それによってその顧客企業はその部品メーカーから製品を買わないという選択に至るかもしれません。
このように、ソリューション型ビジネスモデルはやれば良いという類のものではなく、全体としてプラスになるかどうかを検証しなければなりません。
ソリューション型ビジネスモデルが適合しない事業のタイプ
それではどのような事業特性であればソリューション型ビジネスモデルが適合し、どのような特性であれば適合しないのでしょうか。
至極単純ではありますが、それは顧客側の課題解決能力に依存します。
顧客が製品やサービスを導入する際に付随して発生する問題を解決するだけの能力があるかどうかによります。
例えば、前述の部品メーカーの事例を挙げてみましょう。
部品を組み込んで完成品を作成する設計能力が低い顧客であればソリューションをありがたいと思うかもしれません。
しかしながら、自分自身で部品を組み込んで設計する能力が高い顧客であれば、自分の仕事と共食いになるものが現れたと見えるでしょう。
すなわち解決能力の高低がソリューション型ビジネスモデルの有効性を決めます。
一般的に言えることですが、大型顧客にはソリューション型ビジネスモデルは機能にしくく、中小の顧客には機能しやすいという傾向があります。
もちろん必ず正しいというわけではありませんが、1つの参照にはできると思います。
リスク回避のためには事前に自身の事業を理解すること
ソリューション型ビジネスモデルには、その有効性に関して一定のリスクを伴います。
実際に導入する前にそのリスクを理解して回避するためには、まずは自分自身の事業の特性や顧客の特性などをしっかり理解することが必要です。
本当に顧客はソリューションに対して対価を払うような特性を持っているか。
それをつきつめて考えることでこのビジネスモデルの有効性が見えてきます。
最後に
多くの企業が安易にソリューションという言葉を並べ立てますが、それが常に万能であるわけではありません。
また、ソリューションという言葉の定義が「解決」という意味を示しているように、そこには必ず問題が存在する必要があります。
その問題が何かを正しく理解しなければソリューションは存在せず、それによるビジネスもまた存在しません。
皆さんにとって何かしらの参考になれば幸いです。
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